この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
行政書士のプロフィールはこちら

亡くなった人の不動産を相続するためには、
その不動産を管理している法務局に、相続登記の申請書類を提出して、
書類審査に通らなければなりません。

法務局の書類審査で、不備・不足・誤りなどの問題がなければ、
亡くなった人の名義から、相続人へ名義が変更されて、
相続登記を完了させることができます。

ただ、間違いのない相続登記の申請書類を作成するためには、
事前に正確な資料を集めておかなければなりません。

そこで、相続登記のために、事前にそろえるべき書類としましては、

・ 亡くなった人の不動産の登記事項証明書 又は 登記事項要約書

・ 亡くなった人の不動産の名寄帳と評価証明書

・ 亡くなった人の出生から亡くなるまでの戸籍、除籍、原戸籍の謄本類

・ 亡くなった人の住民票 又は 戸籍の附票

・ 相続人全員の戸籍謄本と住民票、又は戸籍の附票

以上の書類が最低限必要になります。

上記の内、亡くなった人の不動産の登記事項証明については、
どこの法務局でも取得できますが、登記事項要約書については、
その不動産を管理している法務局でのみ取得できる書面です。

そして、登記事項証明書や登記事項要約書を取得するには、
登記事項証明書等の交付申請書と、
手数料を、法務局に納める必要があります。

また、登記事項証明書や登記事項要約書は、
法務局の窓口に直接行かなくても、
郵送によって取得することも可能です。

ただ、郵送による取得の場合でも、取得のための交付申請書と、
手数料の支払いは必要で、
切手の貼られた返信用封筒などの同封も必要になります。

なお、手数料の支払いについては、現金払いではなく、
手数料と同じ金額の登記印紙や、収入印紙を、
登記事項証明書の交付申請書に貼り付けて、支払う流れになっています。

スポンサーリンク

また、亡くなった人の不動産の名寄帳と評価証明書については、
その不動産を管理している市区町村の役所で取得できる書面です。

普通は、市区町村役所の資産税課の証明係りという窓口になりますが、
各役所によって担当課の名称が異なりますので、
事前に役所への確認が必要になります。

もし、名寄帳や評価証明書を取得できる担当課がわからなくても、
市区町村の役所の代表窓口で、
不動産の評価証明書を取得したいと伝えれば、
正確な担当課と係りの名称を教えてもらえます。

ただ、不動産の名寄帳については、
相続登記をする物件が、すべて正確にわかっていれば、
相続登記の申請に、かならず必要な書面というわけではありません。

名寄帳というのは、その市区町村内に、
亡くなった人が所有していたすべての不動産を、
一覧で記載している書面です。

相続登記の申請の前に、名寄帳を取得して、
内容を確認しておいた方が良い理由としましては、
亡くなった人の不動産の把握漏れを、防ぐことができるということです。

逆に、亡くなった人が所有していた不動産を、
すべて正確に把握しているのであれば、
名寄帳については、特に取得する必要はないと言えます。

ただ、亡くなった人の名義の戸建ての土地と建物は把握していたとしても、
他の場所で、他人との共有物件などが存在する場合には、
相続人が把握していないことも、よくあることなのです。

そのため、相続登記の申請の前に、
名寄帳を取得して、所有物件すべてを、一応確認しておいた方が、
後々、相続で名義変更すべき不動産が、
他にもあったというような事態を防げることになります。

また、亡くなった人の出生~亡くなるまでの戸籍、除籍、原戸籍の謄本類は、
それぞれの戸籍の本籍地の市区町村の役所でのみ、
取得できる書面です。

そのため、亡くなった人が、生前、転籍が多かったり、
離婚再婚が多いと、相続登記に必要なすべての謄本類を集める作業だけでも、
1ヶ月~数か月も費やしてしまうこともよくあることなのです。

スポンサーリンク