この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
行政書士のプロフィールはこちら

農地とは、土地の登記簿に記載されている地目が、
田や畑の土地のことです。

地目というのは、土地の種類のことです。
土地については、その土地を管轄している法務局で、
土地の不動産登記簿というものが備えられています。

土地の不動産登記簿には、その土地の所在地番、
土地の種類をあらわす地目、土地の面積、
土地の所有者の住所と氏名などが記録されています。

それらの登記記録の内、
土地の種類をあらわしている地目が、
田や畑になっている土地のことを、農地と呼んでいます。

ただ、農地の相続だからと言って、
農地以外の土地の相続と何かが大きく違うということもありません。

もちろん、農地を継承するかどうかという問題はあるかもしれませんが、
亡くなった人の名義の農地を、相続人へ名義変更することに関しては、
農地であっても、農地でなくても、ほとんど同じです。

ただ、農地を相続して、他人に売却したいといった場合には、
基本的に、農地法の届け出、または、許可を受ける必要があります。

もし、農地の買主が、5反以上(又は4反以上)の農家であれば、
農地法3条によって手続きをする流れになりますが、
買主が、農地以外で利用したい時には、農地法5条の手続きとなります。

しかし、農地の相続自体は、相続に必要な書類さえ整えば、
相続登記申請を行い、登記完了まで進めることができます。

その後で、他人に売却するのであれば、
買主への所有権移転登記へと進むのですが、
農地の場合には、間に、農地法の手続きが必要になるのです。

つまり、農地を相続して売却するときの流れとしては、
相続登記申請→農地法の手続き→買主への所有権移転登記
ということになります。

スポンサーリンク

もし、農地の買主が、農地以外の目的に利用したい場合には、
農地法5条の届け出、または、許可を受ける必要があります。

たとえば、現在の状況が農地である土地を相続して、
売却し、その買主がその土地に家を建てたい場合や、
駐車場にしたい場合に、農地法5条の手続きが必要なのです。

農地を相続して売却する場合の基本的な流れとしては、
相続登記申請→農地法の手続き→買主への所有権移転登記
となります。

ただ、先に、農地法の手続きを行ってから、
→相続登記申請→買主への所有権移転登記
でもかまいません。

ただ、農地の相続が必要な場合に、
先に、農地法の手続きをしようとすると、
農地法の手続きの申請人としては、相続人全員になります。

なお、遺産分割協議書があれば、それを添付して、
相続人の1人から申請という流れもできます。

しかし、先に農地法の手続きをしてから、
相続登記申請→買主への所有権移転登記の流れの場合には、
相続関係を証明する戸籍謄本等が、
農地法の手続きと、相続登記申請の両方で必要になってきます。

つまり、農地の所有者が亡くなった人の名義のままでも、
相続関係を証明する戸籍謄本等を付けて、
相続人が申請人となり、農地法の手続きをすることも可能ということです。

ただ、1番良いのは、亡くなった人の名義の農地を、
まず、相続登記申請によって、相続人の名義に変えてから、
その農地を売りに出すという流れでしょう。

どうしても、相続登記を後回しにしてしまうと、
いざ、その相続登記申請をしようとしたときに、
うまく書類が整わず、時間がかかってしまうこともありえるからです。

スポンサーリンク