この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
行政書士のプロフィールはこちら

遺産分割協議証明書とは、
特に、不動産の相続登記の手続きを行う時に、
よく利用されている証明書形式の遺産分割協議書のことです。

遺産分割協議証明書の形式としては、
協議書の内容は全く同じで、法定相続人1人に対して、
遺産分割協議証明書1枚という形式になります。

つまり、もし、法定相続人が数名いるような場合には、
法定相続人の数だけ、同じ内容の遺産分割協議証明書を用意して、
それぞれに、法定相続人が署名と実印を押すことになるのです。

逆に、一般的によく知られている遺産分割協議書は、
A4サイズ1枚の用紙か、A3サイズ1枚の用紙に、
協議内容を記載して、法定相続人の全員が署名と実印を押します。

遺産が多い場合や、協議内容が多い時には、
数枚におよぶこともありますが、その場合には、
それぞれ、法定相続人全員の割り印を押すことになります。

ただ、1枚の遺産分割協議書や、
数枚で1つの遺産分割協議書の形式の欠点は、
同じ用紙に、法定相続人全員の署名と押印が必要なため、
法定相続人の全員に、順番に1人1人回す必要があることです。

そのため、法定相続人のいる場所が、近所であれば問題ありませんが、
県外に点在しているような場合には、遺産分割協議書は1つなので、
1人1人順番に、郵送等で発送返送を繰り返す必要があります。

スポンサーリンク

逆に、遺産分割協議証明書のように、
法定相続人1人に対して1枚の証明書形式であれば、
県外に点在している場合でも、全員に同時発送することが可能になります。

つまり、法定相続人全員に、同時に遺産分割協議証明書を発送することで、
時間的にも大幅に短縮でき、
労力的にも軽減させることができるメリットがあるのです。

そして、法定相続人全員分の遺産分割協議証明書がそろえば、
それら数枚で、1つの協議書と法務局はみなしますので、
相続登記の申請書と一緒に、管轄法務局に提出します。

ちなみに、法定相続人全員分の遺産分割協議証明書がそろっていなければ、
完成しているとは言えませんので、
不動産の相続登記はできません。

たとえ、法定相続人10人の内、9人の遺産分割協議証明書がそろっても、
1人でも、遺産分割協議証明書が無ければ、
不動産の相続登記の手続きはできないということです。

なお、遺産分割協議証明書の形式であっても、
遺産分割協議書の形式であっても、
法定相続人全員の印鑑登録証明書1通が必要なのは同じです。

ただ、遺産分割協議証明書の形式は、
通常、不動産の相続登記でのみ認められている形式ですので、
不動産の相続登記以外では、使用できない可能性があります。

そのため、不動産の相続登記以外の相続手続きで、
遺産分割協議証明書の形式を利用しようと考えた時には、
事前に、相続手続き先に確認をしておいた方が良いでしょう。

また、遺産分割協議書の形式というのは、
こうでなければならない、といった決まりは特にありませんので、
証明書形式でもかまわないといった手続き先も多いと思われます。

ただ、法定相続人全員に署名と実印をもらってから、
この遺産分割協議証明書ではだめです、と言われてしまうと困りますので、
手続き先への事前の確認は、しておいた方が良いということです。

スポンサーリンク