この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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登録免許税とは、登録免許税法で決められた金額を、
法務局に登記申請をする時に、納める税金のことです。

ただ、法務局に申請するすべての登記申請にかかるわけではなく、
所有権などの権利が関係する登記についてのみ、
基本的に、登録免許税がかかってきます。

登録免許税のかかる代表的な登記としましては、
所有権の移転登記(相続登記を含む)、土地の分筆登記、合筆登記、
抵当権の設定登記などです。

この内、所有権の移転登記には、不動産の売買によって、
所有権者の名義変更を行う場合もあれば、
相続によって、相続人へ名義変更する相続登記の場合も含まれます。

つまり、相続登記は、厳密に言えば、
相続を原因とした所有権の移転登記のことなのです。

なお、登録免許税の税率については、
登記の種類や、登記原因の種類によって変動しますので、
それぞれの税率を正確に知っておく必要があります。

ちなみに、相続を原因とする所有権の移転登記(相続登記)の、
登録免許税の税率は、1000分の4です。
1000分の4は、パーセントで表すと、0.4%のことです。

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相続登記の登録免許税の税率については、
0.4%となりますが、
では、その税率を、具体的にどうすれば良いのかについてです。

基本的に、登録免許税額を出すためには、
市区町村の役所で発行してもらえる名寄帳や評価証明書を取得して、
そこに記載されている課税標準額に、税率をかけます。

つまり、不動産の課税標準額×登録免許税の税率、
というのが原則なのです。

そのため、まずは、市区町村の役所から、
亡くなった人の名義のすべての不動産を調べるためにも、
亡くなった人の名寄帳と評価証明書を取得する必要があります。

ただ、亡くなった人の名寄帳や評価証明書を取得するためには、
亡くなった人の相続人でなければならず、
さらに、戸籍を添付して、相続人であることを証明しなければなりません。

また、登録免許税の出し方は、
不動産の課税標準額×登録免許税の税率になるのですが、
この原則以外に、細かい決まり事もあります。

それは、まず、不動産の課税標準額で、
1000円未満の端数については、先に切り捨てます。

たとえば、不動産の課税標準額が、1,234,560円なら、
1000円未満の端数を切り捨てた1,234,000円に、
登録免許税の税率をかけるということです。

つまり、相続登記の場合、
1,234,000円×0.4%=4936円になります。

しかし、不動産の課税標準額×登録免許税の税率で出た金額についても、
100円未満の端数については、切り捨てることになっています。

そのため、1,234,000円×0.4%=4936円の場合、
100円未満の端数を切り捨てると、4900円になりますので、
登録免許税として4900円を、法務局に納めることになるのです。

ただし、不動産の課税標準額×登録免許税の税率で出た金額が、
1000円未満の場合には、
登録免許税は、1000円になります。

以上のように、登録免許税法による細かい決まり事がありますので、
相続登記の登録免許税を計算する時には、
的確な計算が必要になるのです。

ちなみに、亡くなった人の不動産の名寄帳や評価証明書については、
相続登記の登録免許税を計算するために必要なだけでなく、
相続登記の申請自体に、必要な書類でもあります。

また、計算した登録免許税については、
相続登記の申請時に、原則として、
国に現金で納付して、その領収証を申請書に貼り付けることになります。

ただ、計算した登録免許税の額が、
3万円を超えていなければ、
収入印紙によって納付することも可能です。

収入印紙によって納付する方法場合には、
登録免許税額の収入印紙を、郵便局か、法務局の売店で購入して、
収入印紙を貼りつける台紙に、その収入印紙を貼り付けて、
相続登記の申請書と契印をして、納付する流れになります。

ただ、相続登記と呼ばれる登記でも、
贈与を原因とする所有権移転登記もあります。

その場合の登録免許税の税率は、1000分の20になりますので、
相続登記の原因について正確に判断した上で、
登録免許税を計算する必要があるのです。

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