この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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亡くなった人の名義の不動産を、
相続人の名義に変更する相続登記については、
いついつまでにしなければならないといった期限はありません。

相続放棄の期限である3ヶ月以内や、
相続税の申告の期限である10ヶ月以内などと違って、
法律でも、相続登記の期限については定められていません。

ただ、法定相続人が何もしなければ、
いつまで経っても相続登記が行われることはなく、
亡くなった人の名義のままということになります。

しかし、実質的には、不動産の名義人が亡くなれば、
自動的に、法定相続人が法定持分で相続している状態と言えます。

つまり、亡くなった人の名義の不動産は、
名義自体は亡くなった人の名義ですが、亡くなった時点から、
法定相続人の全員が共有している物件と言えるのです。

法定相続人の全員が共有している物件なので、
誰か一人が、勝手に売却することもできませんし、
担保の設定などをすることもできません。

そのため、通常は、その亡くなった人の名義の不動産を、
法定相続人の誰かが相続して、
その人に名義変更する手続き、つまり相続登記をするのです。

その相続登記をするには、亡くなった人の遺言書が無ければ、
原則、法定相続人の全員が話し合いによって相続方法を決めて、
その内容の文書を作成しなければなりません。

その文書が、いわゆる遺産分割協議書なのですが、
その遺産分割協議書が整わなければ、
相続登記をすることができないとも言えます。

そのような状況の場合もあることから、
相続登記には、期限を設けていないのかもしれません。

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相続登記には期限はありませんが、
数年、数十年とあまり長く放っておくと、
将来的に、相続人本人達が困ることがあります。

1つは、不動産の名義人が亡くなった後に、
その相続人の内の誰かが亡くなってしまう場合です。

もし、亡くなった相続人に、
配偶者(夫や妻)や、子供がいる場合には、
配偶者も子供も相続関係者になってきます。

もし、不動産の名義人が亡くなった時に、
すぐに相続登記をしていれば、
相続関係者にならなかった相続人の配偶者やその子供達が、
法定相続人として加わってくることになるということです。

このように、2つの相続が連続していることを、
相続が数次的に発生していることから、
数次相続と呼んでいます。

そして、その場合には、相続が2回発生していることになり、
遺産分割協議書の記載方法や、
必要な戸籍の範囲も違ってきます。

必要な戸籍の範囲が違えば、
本来1回目の相続で取得すべき戸籍に加えて、
他にも取得しなければならない戸籍が、発生してくるということです。

つまり、相続登記に期限は無いと言っても、
放っておけばおくほど、余分な費用や、
余分な労力が必要になる可能性が、どんどん高くなるということです。

上記のような理由からも、
相続登記に明確な期限はありませんが、
できることはできる内に、早い段階で済ませておいた方が良いと言えます。

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