この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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不動産の相続登記については、
銀行預金などの相続手続きと違い、
後回しにする人もいらっしゃいます。

なぜなら、銀行預金の場合と違って、
不動産は、亡くなった人の名義のままであっても、
すぐに困ることは無いだろうと思われがちだからです。

しかし、本当にそうでしょうか?
やはり、不動産の相続登記をしないで、何年も放っておくと、
後から困ることがいくつか起こりうるのです。

ここでは、相続登記をしていないと困ることについて、
2つの例を挙げてみます。

まず1つは、いろんな相続の書籍でも記載されていることなのですが、
亡くなった人の名義のまま、何年、何十年も放っておくと、
亡くなった人の相続人がどんどん増えてしまう可能性があるということです。

たとえば、亡くなった人に配偶者(夫又は妻)と、
子供が3人(Aさん、Bさん、Cさんが)いた場合、
すぐに遺産分割の話し合いをして、相続登記を済ませれば、
相続関係者は、配偶者と、子供3人だけとなります。

しかし、数年、十数年と相続登記をしないで放っておくと、
亡くなった人の子供の内、Aさんが亡くなってしまうと、
Aさんの配偶者(夫又は妻)と、Aさんの子供全員が、
相続関係者に加わることになるのです。

特に、Aさんの配偶者(夫又は妻)の人は、
直系ではありませんが、その人も含めて、
遺産分割の話し合いをしなければならなくなってしまいます。

そして、話し合いがすんなりと、まとまれば良いのですが、
もともと関係の無かった人が加わることで、
話し合いがこじれることも十分起こりうることなのです。

つまり、最初に、亡くなった人の配偶者(夫又は妻)と、
その子供達3人で、遺産分割の話し合いがまとまっているのであれば、
その時に、不動産の相続登記を済ませておいた方が良いと言えます。

そしてもし、不動産の相続について話し合いもしていないでしたら、
すぐにでも相続人全員と電話などで連絡を取り、
誰が亡くなった人の不動産を相続するのかについて話し合うべきです。

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相続登記をしていないと困ることのもう1つは、
亡くなった人の名義のまま放っておくと、
その間はずっと、法定相続人全員が共有している状態になります。

つまり、上記の例で言えば、
亡くなった人の配偶者(夫又は妻)と、その子供3人の全員で、
亡くなった人の名義の不動産を所有している状態が続くことになります。

そのような状態が何年も続いた場合、
万が一、亡くなった人の子供の内の1人が、
多額の借金などで、その負債を支払うことができなかった場合、
亡くなった人の名義の不動産の差し押さえということもありえるのです。

借金の額などは、たとえ兄弟であっても、
細かく正確に説明するとは限りませんし、
逆に、あまり言いたくないことでしょう。

そのため、そういった事態を避けるには、
亡くなった人の不動産の遺産相続について話がまとまっている内に、
できるだけ早く相続登記を済ませておくと良いのです。

亡くなった人の名義のままの不動産は、
特定された誰かの所有物というよりは、
イメージ的には宙に浮いた状態の不動産と言えます。

実質的にも、均等の持分で、
法定相続人の全員が所有している状態と言えるのです。

そういった不安定な状態なので、
やはり、亡くなった人の銀行預金の相続と同じように、
出来るだけ早く、特定の相続人の名義に変更しておいた方が、安心なのです。

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