この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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土地の相続登記をするには、
最初の段階で、被相続人(亡くなった人)の名寄帳を、
取得しておく必要があります。

なぜなら、名寄帳には、その人が所有している全ての不動産が、
一覧形式で記載されていますので、
後々、抜かりの無いように相続登記を申請できるからです。

逆に、亡くなった人の名寄帳を取得しないで、
この土地と、この土地だけだろうと思って、
知っている土地だけを、相続登記してしまうとどうなるでしょう。

それでも相続登記自体は可能ですが、
後から、亡くなった人が所有している土地が他にもあった、
ということが発見されると、
再度、相続登記の書類の収集や作成を行わなければならなくなります。

つまり、亡くなった人が所有している土地の把握を、
抜かれば抜かるほど、
二度手間、三度手間になりうるということです。

そうならないためには、土地の相続登記を考えた時には、
ある程度最初の段階で、亡くなった人の名寄帳を取得して、
亡くなった人が、その市区町村内で所有している全ての土地を,
把握しておくと良いのです。

また、名寄帳には、土地だけでなく、
その人が、その市区町村内で所有しているすべての建物も載っていますので、
その点でも、非常に便利な書面となっています。

なお、名寄帳を取得する時には、同時に、
各土地と建物の評価証明書も取得しておくことです。

なぜなら、亡くなった人の相続登記をする段階では、
亡くなった人が所有している各土地と建物の評価証明書が必要で、
法務局にも、その原本を提出しなければならないからです。

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また、名寄帳と評価証明書については、
同じ市区町村の役所で取得できるものなので、
名寄帳を取得する時に、評価証明書も同時に取得した方が効率的なのです。

ただし、評価証明書を取得する時には、
その発行年月日に注意が必要になります。

なぜなら、相続登記に必要とされている評価証明書は、
相続登記を申請した年度内の評価証明書が必要だからです。

たとえば、平成28年3月25日に評価証明書を取得した場合、
その評価証明書を、相続登記の申請で使えるのは、
平成28年3月31日までとなります。

相続登記の申請が平成28年4月1日以降になってしまうと、
再度、平成28年4月1日以降の最新年度の評価証明書を、
再度取り直しになってしまうわけです。

名寄帳と評価証明書を取得して、
亡くなった人が所有している土地を把握できれば、
次に、法務局で、各土地の登記事項要約書か、
インターネットで、各土地の登記情報を取得します。

ただ、インターネットで、登記情報を取得するためには、
クレジット情報などを含めた登録作業が必要になるため、
実際には、法務局で取得するしかない人が多いでしょう。

いずれにしましても、土地の相続登記の申請書類を作成するためには、
法務局に登録されている最新の登記情報が、事前に必要になります。

また、名寄帳と評価証明書、土地の登記情報を取得する時には、
ほぼ同時期に、相続に必要なすべての戸籍類を取得しておく必要があります。

なぜなら、亡くなった人の名寄帳と評価証明書を取得する時には、
亡くなった人と、名寄帳を取得しようとしている相続人との、
相続関係を証明できる戸籍類が必要だからです。

つまり、土地の相続登記をするための流れをまとめますと、

① 相続手続きに必要なすべての戸籍類の取得

② 亡くなった人の名寄帳と評価証明書の取得

③ 亡くなった人の全ての不動産の最新の登記情報の取得

④ 遺産分割協議書の作成~相続人全員の署名押印取得

⑤ 相続登記の申請書類の作成

以上のような流れになります。

④の遺産分割協議書は、様式などはある程度自由なのですが、
記載の必要な事項というものが、いくつかありますので、
その点には注意して作成する必要があります。

もし、記載の必要な事項が載っていない場合には、
たとえ相続人全員の署名押印があったとしても、作成し直しや、
署名押印の取り直しを、法務局に要求されることもあるからです。

⑤の相続登記の申請書は、①~④の資料がそろったうえで、
作成できるものですので、普通は、
一番最後に作成することになります。

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